今回は転職を7回経験されていて、現在は大手物流会社のDX推進プロジェクトにフリーランスのITコンサルタントとして携わっている方にお話を伺いました。
エンジニアとしては従業員3名の小さなベンチャー企業からスタートし、今では年収1500万円となった方はどんなキャリアを積まれてきているのか。
転職の経験や今後注目している技術などについてもお答え頂きました。
是非ご覧ください。
経歴のご紹介
- 年齢:41歳
- 性別:男性
- 学歴:情報処理系の専門学校卒
- ITエンジニア歴:20年
- 現職:フリーランスのITコンサルタント
- 年収:1500万円
- インタビュー実施日:2022年6月
フリーITコンサルとしてDX推進プロジェクトを担当
現在はフリーランスのITコンサルとして、 大手物流会社のDX推進プロジェクトに参画しております。
担当している業務は、業務分析からシステム企画/要件定義/テスト計画策定/開発チームのマネジメントです。
チーム人数は5名で、3カ月程度の小規模なリリースを繰り返し、継続的な業務変革を進めております。
システム環境は、SalesForcePlatformを利用しております。
これは容易に業務向けWebアプリケーションを開発できるクラウドサービスになります。
職場環境は完全リモートワークです。
このプロジェクトに参画して約1年ですが、実はメンバーに直接会ったことがありません(笑)
年間3万時間の削減を見込んで取り組んでおります。
複数のタスク及びその恩恵を受ける従業員数も多いことから、これだけの削減が見込まれています。
実際はなかなか難しいところもありますが、できるだけ近づけるべく、日々、試行錯誤しております。
私自身は不都合を感じることは特にないです。
好きな時間に好きな場所で仕事ができますので、快適に仕事をしております。
もともと曖昧さを排除したプロジェクトマネジメントを得意としておりますので、 タスクを振るのに作業場所には左右されないです。
もし必要があれば、いつでもオンライン会議やチャットでコミュニケーションがとれますので。
1日のスケジュールは、基本は9:00~18:00勤務となっております。
ただしリモートワークですので、基本は好きな時間に仕事をしております。
私は早朝から仕事をするのが好きなので、6時くらいから仕事をして、午後はのんびりと過ごしています。
会議は、毎日チームの定例会があるのと、週2~3回顧客との打ち合わせがあります。
前述しましたが、これらはすべてリモートで行っています。
リリース直前などの特別な時期を除けば残業もほとんど発生しておりません。
財務会計・管理会計の業務知識が強み
特定領域の深い業務知識とITエンジニアとしての知見を合わせ持っていることです。
ユーザ目線での業務改善を行いつつ、ITエンジニア目線で実現可能なシステムを提案することを得意としております。
主に財務会計・管理会計を得意領域としており、それらを中心とした、 企業のお金に関連する業務(見積管理、販売管理、請求管理、購買管理、給与管理、契約管理など) については知見を有しております。
これは会計系の国家資格を取得したことと、日々の業務を通じて習得してました。
技術的にはJAVAプログラマとしての経験が最も長いですが、 自身で開発することはここ10年以上ないので、もう得意とは言えないかもしれません。
ただ、プログラマとして得た経験値や思考力は今でも十分に役に立っています。
例えば開発チームに技術的に実現できないと言われた時も、 別のアプローチから実現できるのではないかなど、アドバイスをいつも実施しております。
個人で事業収入を得ていきたい
フリーランスとして独立して2年たちますが、個人で事業を立ち上げて収入を得られていないのが悩みです。
現在は、フリーランス専門のエージェントに仕事を紹介していただいているのですが、 ほとんどの仕事が大手コンサル会社のプロジェクト案件への参画です。
これだとあまり正社員のときと働き方が変わらない印象を持っております。
せっかくフリーランスになったので今までと違う事をやりたいと思い、何か個人で事業をできないか試行錯誤しています。
起業することは意識していないです。
個人で自由に仕事ができれば十分です。
ただ、もしありがたいことに売上高が増えるようなことがあれば、 節税対策で法人化を検討することはあるかもしれません。
主にINTLOOP社(ハイパフォーマーコンサルタント)とパーソルキャリア(アイコモンテック)を利用しております。
INTLOOP社の良い点は高額案件が多いところと、 私の強みを理解したうえで的確な案件を紹介してくれることです。
悪い点は、低稼働かつ中小企業向け案件が少ないことです。
ほとんどの案件が稼働率100%、大手コンサルティング会社案件、大企業向け案件なので、 正社員の時と仕事内容があまり変わらない印象です。
そこでパーソルキャリアを利用しております。
こちらは低稼働かつ中小企業向けの案件を多く紹介いただける印象です。
ホームぺージ制作からキャリアをスタート
私はもともと、論理的に物事を考えることが好きなのと、人と話すのが苦手だったので、プログラマになりました。
働き始めは地方のベンチャー企業で、地元企業様向けに、ホームページや簡単なWebアプリーケーションを開発しておりました。
従業員数3名のベンチャー企業でしたので、教えてくれる人が誰もいませんでした。
Linux, Apache, Tomcat, HTML,CSS, Java, PHP, CGI, PostgreSQL, MYSQL, Oracleなど 様々な技術を試行錯誤しながら独学で学んでいきましたね。
当時は純粋に新しいことを学ぶことが楽しく、あまり将来のことは考えていませんでした。
周囲に誰も教えてくれる人がいなかったので、自己解決力が身についたことです。
わからないことは自分で調べて自分で考えるという癖がつきました。
RPAによる低コストで全体最適化に注目
技術スキルとしてはRPAに注目しております。
最近の中小企業の業務系システムは、業務領域ごとに様々なクラウドサービスが利用されております。
しかしながら、全体最適の観点から言えば、各システムがバラバラで切り離されており、効率的とは言い難い状況です。
大企業であればERPを導入するなどの対策もありますが、 社内のIT投資にそれほどのお金を避けれない中小企業では難しいかと思います。
そこでRPAです。
ユーザ操作を自動化するRPAであれば、クラウド上で動作する業務システムをシームレスにつないで、 低コストで全体最適化を図れるのではないかと考えております。
将来的には、RPAも活用しつつ、中小企業向けのITシステム支援を行いたいです。
中小企業で特に上場を目指しているような成長著しい企業は、その時々でシステム導入をしているので全体最適されていないことが多いです。
それらのシステムを「業務効率化」「内部統制強化」「リアルタイムでの数値の見える化」の3点で、支援するような仕事ができないかと考えております。
具体的なRPAツールについては特に学んでいないですが、 実業務でBizRoboとWinActorを導入したことはあります。
ただし自分では実装はしておらず、実装はRPA技術者にお願いし、私は業務改善に注力しております。
RPAは従来の業務をそのまま自動化するだけでは限定的な効果しか得られず、 業務を見直して最適化したあとに、RPAを適用することで真の効果が得られると考えております。
転職を7回経験。重要視してきたこととは?
転職は7回しています。
20代~30代のころは、上流工程の仕事に携わることと、年収アップを意識して転職しました。
40代からは、顧客への価値提供をより意識するようになってきましたね。
転職遍歴は以下になります。
転職回数 | 転職の拝啓 |
1回目 | 元々は地元の企業でCADの製図に携わていたのですが、プログラミングの仕事に携わりたく地元で転職しました。
地元の企業様向けにWebアプリやホームページの作成をしており、1年ほど在籍しました。 |
2回目 | より大きなシステム開発の仕事に携わりたく、地元企業から東京の企業へプログラマとして転職しました。
主にインターネットサービスを展開する企業様向けに、JAVAプログラマとして活動し、5年ほど在籍しました。 |
3回目 | SEとして業務系システムの上流フェーズに携わりたく、パッケージベンダーに転職したのですが、 ユーザ問い合わせ部門に配属され、適性の全くない私は、2週間で退職しました。 |
4回目 | 3回目の失敗を取り返すべく、中堅のSIerへ転職しました。
業務系システムの開発にSE・PMとして携わり、7年ほど在籍しました。 |
5回目 | より上流工程に携わりたいという思いから、ITコンサル企業へ転職しました。
大企業様向けのシステム化構想や提案活動に携わり、7年ほど在籍しました。 |
6回目 | よりユーザに近い立場で価値を提供したいと思い、スマホアプリ運営会社の情シスへ転職しました。
しかしながらシステムの運用・保守業務に耐えられず、半年ほどで退職しました。 |
7回目 | 仕事の選択肢をより広げることと、顧客へ価値を直接的に提供したいという思いから、 フリーランスとして独立しました。 |
ITコンサル企業です。
いくつも貴重な経験をさせていただきました。
以下のような感じです。
-システム化構想やPMOなど、フリーランスとして自分の単価を上げるための経験を積ませていただいた。
-提案業務にも数多く関わらせていただき、顧客への提案書作成から契約書作成まで、フリーランスの折衝においても役立つ知見を学ばせていただいた。
-あまり話すのが得意ではないと思っていた自分が、実はコミュニケーションに強みがあるという、新たな発見をさせていただいた
-非常に優秀な上司や同僚が何人もおり、刺激を受けるとともに、仕事の進め方など多くを学ばせていただいた。
リクルートエージェントとパソナキャリアを使い分け
転職エージェントを利用しました。
主に「リクルートエージェント」「パソナキャリア」を利用しております。
良かった点は、両社とも紹介いただける企業様が豊富で、かつ、この両社はあまり求人が重複していないところです。
改善を求めたい点は、内定を頂いた後に、内定を承諾するように圧力をかけてくることです。
私の場合は、前回の転職時に、フリーランスとして独立するか、内定を頂いた企業へ正社員として転職するか悩んでいた時に、 独立することに対して相当に不安を煽られたことが、あまり良い印象ではなかったです。
しかしながらこれは、企業から成功報酬を得ているビジネスモデル的に仕方がないことかと考えております。
転職エージェントも慈善事業ではありませんので、その辺は利用者側が割り切るしかないかと。
キャリアに悩んでいる人にとっては、転職エージェントの一歩手前に、 企業と利害関係を持たない、相談先みたいなところがあればよいのかなと思ったりもしました。
転職するたびに使っておりました。
担当者は変わりますし、担当者の質も様々ですね。
中には私のスキルをいまいち理解できずに、的外れな企業を提案してくる方もいました。
ただそこはコミュニケーションを重ねたり、自分で求人データベースを検索したりして 改善できるのであまり気になりませんでした。
それよりも一番困るのは、面接スケジュールの調整力がない担当者です。
たとえばA社の内定が既に出ていて回答期限が明日、B社の最終面接が明後日でB社が本命という局面が一番困ります。
B社が本命なのですが、万が一に備えてA社も辞退したくない。
利用者側としては、同時に複数の内定がでて比較検討できるのが理想的です。
そういった状況を作らないように、事前にうまくスケジュール調整してくれる担当者が有難いです。
その他には「BIZREACH」を利用しております。
「BIZREACH」は、求職者側がお金を払うというのが他に無くて面白いなとは思いますが、 自分ではお金を払ってまで利用する気にはなかなかなれないです(笑)
稀にある無料期間を狙って利用するようにしています。
おすすめの書籍
「ITコンサルティングの教科書(杉浦司)」
システムエンジニアからコンサルへ転職する際に、ITに関する考え方を変えさせてもらった書籍です。
「文体とパスの精度(村上龍/中田英寿)」
20代前半のころに読んで、自分の人生を豊かに生きていくためには、継続的にスキルを磨く必要があるということを強く意識させられた本です。
ITエンジニアとしてのやりがい
「困難な課題に挑戦して、ひたすら考え抜いて、解決に導く。」そのプロセスにやりがいと楽しさを感じています。
自己満足でも十分楽しいのですが、その結果、周囲の人に感謝され、温かいお言葉を頂けるとなお嬉しいです。
プログラマ時代に、翌日PMが顧客の経営陣に向けて大切なデモを控えている中で、致命的なバグが発覚したことがありました。
それを徹夜で調査して、翌日の午前中にバグを解決した喜びは今でも覚えています。
PMの方から本当に感謝され、温かい言葉を頂きました。
今の原動力の原点になっています。
過去の自分へのアドバイス
「自分で考え、自分で行動する。」これに尽きるとアドバイスしたいです。
ずっとこのポリシーでやってきたので、アドバイスというよりはそのままでいいよという感じですね。
この度はインタビューに答えて頂きありがとうございました。
まとめ
今回は転職を7回経験されていて、現在は大手物流会社のDX推進プロジェクトにフリーランスのITコンサルタントとして携わっている方にお話を伺いました。
年収1500万円稼ぐような方も、最初は小さな会社から右も左もわからない状態でスタートし、そこから徐々にキャリアアップ
非常に模範的だなと思ったのが、キャリアアップするために、目的意識を明確に持って転職されていたことです。
客観的に見ても、転職に2度失敗されているという印象でしたが、転職の目的が果たせていない以上、長居は不要と考えるのは英断だと思います。
ちなみに正社員として働かれていた時の最高年収は、ITコンサル会社に勤めていた時で1,000万円だったそうです。
それを考えると、やはりフリーランスは大きく稼ぐことができますね。
今後のキャリアの参考になりましたら幸いです。
フリーランスコンサルタント向けの業界最大級エージェント
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