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今回は新卒で下請けのIT企業へ就職し、15年務めた後に大手メーカーへと転職された経験20年を超えるソフトウェアエンジニアの方にお話を伺いました。
客先常駐から自社勤務、上流から下流まで幅広く経験のあるベテランエンジニアは現在どのような業務を担当されているのか。
また、転職の経験談や仕事での悩みについてもお答え頂きました。
是非ご覧ください。
経歴のご紹介
- 年齢:44歳
- 性別:男性
- 学歴:早稲田大学 教育学部 理学科 卒業
- ITエンジニア歴:20年2か月
- 現職:製造業、家庭用器具の企画・研究開発・製造・営業販売
- 年収:600万円
- インタビュー実施日:2022年6月
チームリーダーとして家庭用器具のソフト開発を担当
家庭用器具の制御用ソフトウェアの開発を行うプロジェクトで、(人手不足の影響もあり)チームリーダーと開発担当を兼務しています。
製品自体は単一の製品開発ですが、その製品には複数の制御コンピュータを搭載しているため、3つのソフトウェアを同時並行で開発しています。
開発言語はC言語を使用しています。
メインの業務はソフトウェア設計、実装、テストですが、製品開発部門、実験部門、制御基板のハードウェア開発部門等、様々なステークホルダーと連携しながら開発を進めており、製品の仕様調整、仕様提案も行っています。
ソフトウェア開発業務といえども、製品開発に関わる幅広い業務をこなしながら、若手担当者の指導、育成も行っています。
週に2~5回程ある会議等の予定がない日は、自分自身も開発担当の業務をこなしています。
また、他の担当者が作成した成果物レビューを行うこともあります。
より多くの人の視点を必要とする場合は、会議でレビューを行うこともありますね。
開発:会議:マネジメント(レビュー、担当サポート含む含む)=4:1:5 くらいの割合になっています。
月の残業時間は、30時間~50時間であり、まだまだ少ないとは言えません。
ソフトウェアの共通化と汎用設計が強み
C言語での開発経験が長いことと、ソフトウェアの共通化と汎用設計を得意としています。
一つの製品シリーズの中でも、年代毎、向先毎に少しずつ仕様が異なり、対象製品に慣れていない最初は大変です。
しかし、仕様を少しずつ理解し、あらかじめどれだけのパターンを想定しておくべきかが分かれば、汎用的な設計にすることで開発を効率化した実績を保有しています。
ポイント
汎用的な設計ができると、開発後の運用が楽であったり、同じような製品への流用ができたりとメリットが大きいですね。
また、開発効率にも繋がっているということで、技術者としてもマネジメントを行う立場としてもスキルの高さが伺えます。
外的要因による予想外のトラブルが悩み
開発ですので、どうしても想定外のことが発生すること、開発途中の追加要求等、ソフトウェア開発者からすれば外的要因のしわ寄せを受け、開発終盤ほど業務が逼迫することです。
そして、長時間労働に繋がり、体力を消耗し、パフォーマンスが低下し、最悪の場合は、製品の品質や開発メンバの健康面でのリスクを負います。
自部門でできる効率化には取り組んでいますが、限界があります。
引き続き効率化や、関連部門との調整・折衝能力の向上には務めますが、ソフトウェア開発部門の実態を身近な部門から共有し、周囲の人たちが実態を『知る』ことから始めることが重要と考えますので、今後はそのような取り組みをしていきます。
仰る通り残業が慢性化してしまっておりますが、転職前の会社は更に酷い状況のときもありました。
さらに、転職前の会社と今の会社では通勤の負担が全く違い、今の会社のほうが楽です。
また、技術分野・業務内容も自分の馴染みがある分野であるため、そうでない場合と比べて、そこまで苦にはなりません。
転職については、私は一度成功しているのですが、やはり転職はリスクを伴うと考えており、慎重にならざるを得ません。
条件の良いところがあればと考えていますが、今すぐ転職したいというほど切羽詰まった状況ではありません。
しかし、情報収集は怠らず進めていくべきと考えております。
C言語での車載システム開発からキャリアスタート
初めてエンジニアとして働き始めたのは、私が新卒の時にIT企業に入社し、お客様先企業に常駐で車載システムの開発に携わりました。
C言語を始めてまだ間もなく、正直わからないことだらけでした。
当時考えていたことは、新人間もなく客先常駐であったことから、
「自社で仕事をしているわけではないので、いずれはこの現場を離れなければいけない。開発対象の製品の知識は必要だが、特定の製品の知識や特定の現場でしか通用しない内容よりも、どこへ行っても通用するスキルをしっかり身に着けるべきだ。」ということです。
そのため、業務以外にも情報処理技術者等の資格取得にも取り組みました。
業務改善のため、ExcelVBAに注目
私は開発のほとんどがC言語を使用していましたので、それ以外の言語は、ほとんど馴染みがありません。
一時期はUNIX環境のシェルを使って、開発ツールを作成したり、改善したりしていました。
これを踏まえ、今更ではあるのですが、エクセルのVBAに注力しており、業務改善の幅を広げようとしています。
エクセルVBAは将来性を心配する見解もありますが、これを身に付ければ出来る業務が増えること、将来また別の言語を学ぶときでも吸収が早いと考えています。
今後は、上記のように自身の技術力を高めるとともに、自分のエンジニアとしての経験を後生に伝承する教育面を中心としたキャリアを目指したいと考えています。
ITスクールではなく、基本的には現場で行っていくことを考えています。
実際に社内勉強会の講師をさせていただいた経験もあります。
また、技術面とは異なり、エンジニアとしての労働について、自分の経験を踏まえた情報を発信するブログも書いています。
今回のインタビューもそうですが、自分の経験を発信できる場があれば、差し支えのない範囲で発信していきたいと考えております。
下請けIT企業からメーカーへ転職
転職は1回しています。
1社目には15年程度勤務したのですが、下請けを中心としたIT企業であり、自社開発、客先常駐共に経験しました。
客先常駐(大手メーカー)で実績を挙げることができたり、自社で過重労働で身体を壊したりしました。
同じスキルの人間が、場所や環境によってここまで違うということ、優良企業ほど私を高く評価している傾向があるということがわかり、自社でがむしゃらに頑張るのではなく、優良企業へ転職することを意識し始めました。
同時に視野を広げることの大切さを感じました。
ソフトウェア開発をプログラミングまで含めて、メーカー企業で行っていることてす。
日本ではソフトウェア開発を下請け企業に丸投げするケースがまだまだ多いですが、IT業界の多重下請け構造の問題からも伺えるように、下請けほど労働条件も悪くなります。
しかし、製品の価値を産み出すのはソフトウェアです。
そのことを理解している企業に入るべきであると考えていましたし、実際私は下請けを中心としたIT企業から大手メーカーへ、ソフトウェアエンジニアとして転職しました。
dodaから求人を紹介してもらい転職活動
転職エージェントのdodaを利用しました。
業界ごとに内情に詳しいエージェントの方がサポートしてくださりました。
こちらが希望した時期に面談に応じてくださったり、希望に近い求人を複数にわたり提示していただきました。
また、職務経歴書の書き方やポイント等丁寧に指導していただきました。
私が利用したエージェントでは、偶然なのかもしれませんが、改善を求めたい点というのは特に見当たりませんでした。
しかし、今考えると私自身、複数の転職エージェントに登録しておくと、また違った情報が得られる可能性がありましたので、こらから転職を検討される方についてはお薦めしたいと思います。
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dodaエージェントサービスの特徴や魅力、口コミや評判について解説します。
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行動を起こすまでは、転職は大変だというイメージを持っていましたが、このときは運良くすんなりと進められたのではないかと思っております。
試験の一つであるSPIは久しぶりで、対策も何もしていませんでしたので、ヒヤリとしました。
まだ、登録していませんが、「ビズリーチ」がよくCMとかで流れていて、ハイレベルであるため、少し気にはなっていますね。
おすすめの書籍
『ソフトウェア・ファースト』
この本はソフトウェアの重要性について書かれています。
日本では歴史的な背景から製造業において経済を発展させてきており、ITやソフトウェアをモノ/ハードウェアのおまけ程度の位置付けとして軽視してきました。
しかし、製品の価値を生み出すのはソフトウェアです。
ソフトウェアがビジネスを左右するといっても過言ではなく、このことに共感しました。
ITエンジニアとしてのやりがい
これまでいくつかの製品開発に携わってきました。
世の中で多くの人たちに使用していただく製品の開発に携わることができるのは、エンジニアとしての貴重な経験です。
特に楽しさややりがいを感じるのは、自分のアイデアや設計が開発製品に採用され、製品価値の向上や、業務効率の向上に大きく貢献し、周囲から感謝されたり、認めてもらえたときです。
また、開発中はいくつもの苦労はありますが、このような状況を理解してくれる上司や同僚が周囲にいるということも、エンジニアを続けられる理由の一つであると考えています。
過去の自分へのアドバイス
一つの技術や、今いる現場に必要なスキルの出来・不出来だけで人の価値を判断しないことです。
今の会社、今の業務が全てではありません。
業務知識や技術の分野は多岐にわたります。
企業の体質も様々ですし、残念ながらこの業界にもブラック企業は存在します。
ある分野では不得意でも、別の分野では強みを持つ人もいます。
自分の強みを知り、他人の強みを知り、自分の価値判断基準を持ち、視野が広いほうが長期的に有利です。
この度はインタビューに答えて頂きありがとうございました。
まとめ
今回は下請けのIT企業から大手メーカーへと転職されたベテランのソフトウェアエンジニアの方にお話を伺わせて頂きました。
現場のリアルをお話頂くことができ、キャリアの参考になる部分が非常に多かったのではないかと思います。
同じ仕事をするにしても、どの会社で行うかによって職場環境も違えば待遇も異なります。
また、どの程度キャリアアップできるのかも変わってきますので、転職を考えるのであれば総合的に判断するのが吉ですね。
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